余白を鑑賞する 〜鳴子温泉湯元・櫻井尚道 工人作〜

岩太郎系列,櫻井尚道Kokeshi Second Angle,鳴子系,岩太郎系列,櫻井尚道

木地の白さに映える菖蒲の花は若々しさを覚えます。
頭部の首もと、腰部から裾に至るラインに注目。

東京こけし友の会・2025年1月新年例会で頒布されたこの作品を見て「このシンプルさは落ち着く」と話していた会員さんがおりました。

最近は絵が得意な工人さんが多く、特に創作型では動物や植物、風景などをとても詳密に描かれる作品を見ると驚きを覚えます。その一方でずいぶんと描き込んでいるなぁというか、描き過ぎてしまってはいないかと感じる場面もあります。
手にした人の想像力を補完する余地を残しているこけしのほうが長く楽しめるように筆者は考えます。

本稿作品のように描く模様をしぼったり、木目やフォルムに着目する作品も増えているところを見ると、トレンド変化の兆しを感じます。

余談。
2025年の新春、鳴子温泉を訪れたときの風景です。
大崎市西部で大雪警報が発令されるような大雪の中、まち中のこけしオブジェたちは雪の日ならではの面持ちをしておりました。