キュートな姉妹たち。
鳴子温泉駅から歩いて1分30秒、「おかしときっさ たまごや(玉子屋本店)」で売っている創作こけし「ゆめみるこけし」。
同店のロングセラー「わらび餅」の姉妹品「こけしのゆめ」が2012年から発売された際にパッケージデザインとして描かれたもので、石巻在住のイラストレーターでニューヨークでの個展実績のある宮本悠合さんが手がけました。
「こけしのゆめ」が発売されたのち、パッケージデザインをもとにオリジナルグッズを作ることになり、吉田勝範工人に製作を依頼して生まれたのがこの「ゆめみるこけし」です。勝範工人の描くクリっとした眼点がキュート。
あまりにキュートなので機会あるごとにお店のお菓子と一緒に買っていくのですが、今までに入手した作品を並べてみると違いがあることに気づきます。
冒頭の画像は年代順に並べたもので、左から2012年、2014年、2016年、2017年(2本)、2018年製作となります。こう並べてみるとそれぞれ表情に違いがあるんだな…と実感します。
製作初期作はおすまし顔のシャープな印象、近作はおっとりしたマイルドな印象があります。
ちなみに頬を赤く描いたものがオリジナルで、うっかり頬を描き忘れて納品したバージョンも人気があって時々作られるそうですが本数は少なくレアアイテム。
底面の署名については、初期作品には「吉勝」のゴム印が、2015年頃からは「かつのり」、または「ナルコ かつのり」と筆書きで記載しています。
紅葉とともに
トランプバージョン。2022年に津軽こけし館の「ポケットこけしパーク」で初出品されたのち、2023年2月より玉子屋本店でセット販売を開始しました。
余談
いわゆる伝統こけしを収集するポイントのひとつに「同じ作者の作品を入手し続けて、その変化を楽しむ」というものがあります。
こけしはひとつずつ手作りですから、当然ながら個体差が出てきます。この個体差は短期間で生じるものと長期間で生じるもののがあり、作者によって幅はまちまちです。作品の変化と作者の経歴を重ね合わせて、作者の境遇を研究する収集家もいます。
なお、「おかしときっさ たまごや」には伝統こけし11系統の代表作が飾られているほか、「こけし辞典」、「羨こけし」といった文献も常備しているので、鳴子の町なかを散策していてふと見つけたこけしについて調べたいときにはお店に訪れるといいかと思います。