Kokeshi Second Angle,鳴子系岩太郎系列,田邉香

最初に見たときのインパクトが頭から離れず入手しました。
胴模様に「合歓木(ねむのき・Silk tree)」を描いた作品です。

松尾芭蕉「奥の細道」の句にも「象潟や 雨に西施が ねぶの花」と詠われ、鳴子周辺の川沿いにも自生している馴染み深い植物です。

合歓木を胴模様の絵柄に使うのはおそらく鳴子史上初と思われますが、上向きな花、枝垂れた葉の配置は鳴子こけしの”文法”に沿っていて安定感があります。
少し上向きの面描は、新しく仕立てた服を着てお友達に会いに行ったときのようなときめきを感じる表情です。

岡崎靖男工人のお店で入手したとき「いま世界で二本しかないこけし。いい出来だよな」と”師匠”は話しておりました。

↑買ったばかりのサマーニットを姉ちゃんに見せてドヤる妹の図。

Kokeshi Second Angle,土湯系大内一次,湊屋系列

このこけしが手元にくるまでどのような人生(?)をたどってきたのかは定かではありませんが、行く先々で大切にされていたのだと思います。だからこそ現代においてもじわりと美しさを放ち続けるのだと考えます。

弁松弁当の甘濃ゆい味の沁みた里芋や蓮根のような飴色の光沢に魅せられると古品街道に走ってしまいそうです。

こちらは1957年(昭和32年)作。左上の視線が素敵。
ぱっちり眼の7寸と落ち着いた微笑の1尺作品を並べてみると寸法に似合う表情というものがあることに気づきます。