仙台在住の現代美術家・青野文昭氏が自身のWebサイトで1970年代におけるアイドル歌手評論を展開していた際、デビュー当初の山口百恵について
アイドルの系譜から言えば、強烈だが異端的なポジションであり、いわゆるこけし界における肘折系・佐藤周助といったところか(この例え解かる人はほとんどいないと思うが)※1
と評していたのを読んでなるほどと思いました。佐藤周助工人の作品が非常に強いインパクトを持って迎えられたとともに年代を経てもそれが色褪せず、現在もなお強烈さが通用するものであるかがよく分かる「例え」ではないかと考えます。
画像は佐藤昭一工人の周助型。
やはり第一に注目してしまうのは、凝視していると強烈な吸気でバキュームされそうな「口元」でしょうか。超音速旅客機を彷彿とさせる筋の通った鼻、太く弧を描いた眉…濃厚なパーツで構成された顔に好意を抱くには多少の時間と経験が必要かもしれません。
一方で「クセになる顔」とも言うことができて、しばらく棚の奥に収納しているとふとあの顔が恋しくなってくるのです。
〜余談〜
こけしは長く保存していると表面の蝋が浮いてくることがありますがカビではありません。
乾いた布(レディスもののナイロンストッキングが最適)で磨いてあげてください。
あくまで自己責任ですが、ドライヤーの熱風を当てて「ブロー」する方法もあります。こけしの表面処理に使われる木蝋の融点は約50度(蜜蝋は約60度、カルナバ蝋は約80度)なので熱風を当て過ぎないこと、ゆっくりと冷却することに注意する必要があります。急激な温度変化は木地にダメージを与えます。
(参照:下写真。左がドライヤーを当てる前、右がドライヤーを当てた後)
中古品などで汚れが目立つ場合、ベンジンで拭く方法もあります。カイロ用ベンジンを使うこと、目立たない場所で試すことをおすすめしますがこちらも自己責任です。