Kokeshi Second Angle,こけし道中,遠刈田系佐藤勝洋,佐藤哲郎,佐藤忠,佐藤早苗,平間勝治,日下秀行

巣鴨_遠刈田実演_1
晩秋の冷たい小雨が降る中で初日は始まりました。
11月11日より15日まで東京巣鴨のとげぬき地蔵尊(高岩寺)で開催された「第10回東北復興支援・遠刈田系伝統こけし製作実演」に出かけてまいりました。
(→本年7月に開催された第9回の模様はこちらをごらんください

今回は遠刈田温泉周辺に在住の工人が東京に集まり、こけしの製作実演、作品や物産の販売が行なわれました。

巣鴨_遠刈田実演_2おなじみ灯篭は前回と同様。左から佐藤哲郎、佐藤勝洋、佐藤正廣の各工人作がモデルになっております。

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会場内展示販売スペース。
ごらんのようにさまざまな模様や表情の作品があって、どれを選ぼうかと毎度悩みます。

11日の参加工人は

  • 佐藤哲郎工人
  • 佐藤勝洋工人
  • 佐藤忠工人
  • 平間勝治工人
  • 佐藤早苗工人
  • 日下秀行工人

と作品に定評のある作者が集まっており、幅広い世代のファンに応えたメンバー構成になっております。

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素早く木地を挽く青根地区の佐藤忠工人。
仕上げ磨きには「木賊(とくさ)」を使っておりました。

巣鴨_遠刈田実演_5蝋引きをする佐藤勝洋工人。
手に持っているのは蜜蝋のブロックで、ろくろを回しながら蝋をつけていきます。
白蝋も持参してきて、一部の作品には白蝋をつけておりました。
ちなみに白蝋は蝋引きしたのちに布などで磨くと美しい光沢が出るそうです。

それでは展示作品の一部をご紹介したいと思います。

巣鴨_遠刈田実演_6_勝洋佐藤勝洋工人作。
作品群では周治郎系列に入ります。
どの作品も安定感があること、それが高い技術の証です。

巣鴨_遠刈田実演_7_早苗佐藤早苗工人作。師匠は勝洋工人です。
早苗工人の作品は「聡明そうな女学生」の雰囲気があって、複数本を並べると教壇から生徒たちを見渡したときの感覚を思い出します。

巣鴨_遠刈田実演_8_哲郎_すみ江佐藤哲郎工人とせい子工人作。
作品群では吉郎平系列に入ります。
肩の部分に井桁模様の入った「こまくさ模様」は哲郎工人のオリジナル。
丁寧に磨き上げた表面部分はなかなか触り心地がいいものです。

巣鴨_遠刈田実演_9_忠幸之助型今回私がグッときた表情がこちら。
遠くから見るとポカーンとした面持ちをしていますが、そばに近づいて見つめているとこけしから語りかけてきます。

佐藤忠工人による鈴木幸之助型です。
展示されている作品を見たとき「なぜ遠刈田系の製作実演なのに肘折系があるのだろう?モデルになっているのは誰の作品なのだろう」と思い、忠工人に尋ねてみたところで幸之助工人の名前を聞くことができました。

鈴木幸之助工人(1888-1967)は笹谷生まれの青根育ちで、肘折で木地を挽いていました。忠工人の父親、佐藤菊治工人(1895-1970)と同じ師匠(佐藤重吉工人)というつながりから幸之助型を作っています。

作品群では治平系列に入ります。

巣鴨_遠刈田実演_10_秀行茂吉型斬新な刈り上げおかっぱ頭は来場者の注目を集めます。
日下秀行工人作、佐藤茂吉型です。

佐藤茂吉工人(1860-1943)は遠刈田こけしの一時代を築いた工人ですが、現存する作品はほとんどなく、秀行工人はさまざまな文献資料を研究して製作したそうです。作者の筆遣いのクセだけでなく、筆の使い込み具合まで観察しているそうです。

秀行工人に写しの考え方について聞いたところ、「原作品に忠実であること」を主眼に製作しているとのこと。原作品にはそれを作った工人の製作環境や心境が含まれているから、自身の解釈を必要以上に含めず、作品そのものをよく観察して余すところなく写し取れるかが重要であることをお話から理解しました。

ちなみに秀行工人の師匠は哲郎工人です。

巣鴨_遠刈田実演_11_早苗真田六連銭を描いた小だるまの群れは早苗工人作。
このディスプレイをカメラに収める来場者は結構いらっしゃいました。

Kokeshi Second Angle,こけし道中,鳴子系

鳴子_こけし堂12016年10月8日から鳴子温泉湯元の櫻井こけし店敷地内にリニューアルオープンした「 こけし堂」。
オープンを目前に控えた10月初旬、準備只中のところをお伺いいたしました。

 

鳴子_こけし堂2櫻井こけし店の建物は3階建てで1階部分と3階部分に店舗と実演工房があります。
1階店舗はこけし通りから、3階店舗は鳴子ホテル横の上野々スキー場・古戸前・潟沼方面に至る道路からアプローチします。

 

鳴子_こけし堂3もともと3階は昭二工人(1927-2011)の仕事場でした。鳴子を訪れるファンと語らえる場所、そして地域の方々と交流できる場所を…という昭二工人の思いから「こけし堂」は作られました。こけし祭りのときには深夜まで愛好家たちが歓談をしていたといいます。

昭二工人亡きあと、しばらく3階部分は往時の状態のままになっていましたが、「ふたたび鳴子でこけしを語れる場を…」との願いや声は愛好家や地元の方などさまざまな方面から出ていました。
その折、昭寛工人の息子・尚道さんが工人の道を歩むことになり「こけし堂」をリニューアルするチャンスが生まれました。

2年近く準備が進められ、プレオープンは第62回全国こけし祭りの開催に合わせた2016年9月3日。
店内では仙台の「こけしぼっこ」さんによる「こけし劇」が上演され話題を呼びました。

 

では店内の様子をお伝えしていきたいと思います。
準備中に訪れたため、オープン後と館内レイアウトが異なる箇所がございますことをご了承下さいませ。

鳴子_こけし堂4
正面入口すぐに商品の販売スペースを設け、右側には展示スペースがあります。
販売スペースではこけしのほか、雑貨類も販売しています。
展示スペースは都内のギャラリーを思わせるモダンな作り。
プロジェクタースクリーン、プロジェクター、音響機器を備え、映像や音楽の上映・上演も可能です。

 

鳴子_こけし堂5
展示スペースは正面向かって左側にもあります。
昭二工人の作品、こけしや郷土玩具に関する資料を展示しています。
棚の支柱に注目。

 

鳴子_こけし堂6上記の展示スペース背面は落ち着いた和室になっており、談話会などのイベントを開催することができます。

2016年12月3日に談話会の第一弾として、トークセッション「こけし夜話 Vol.1」の開催が予定されています。
(詳細は→ こけし堂 facebookページをごらんください)

鳴子_こけし堂7窓を開ければ江合川と花渕山の眺め。
初夏にはみずみずしい新緑とすがすがしい風を感じることができるでしょう。

 

鳴子_こけし堂8昭二工人が描いた岩蔵型の画。
この大きさは実際に訪れて感じていただければ幸いです。

 

鳴子_こけし堂9他系統のこけし群。
右端にある煤けた小松五平工人作の存在感。

 

鳴子_こけし堂10
こけし堂の工房。
現在、尚道さんが木地修行に励んでおります。
画像右側のパネルには山中の工房の庭で撮影した昭二工人と作品の姿が。

 

鳴子_こけし堂11ろくろ周り。
刃先の異なるカンナがいくつも並んでいます。

 

鳴子_こけし堂12
電動式ろくろの隣には足踏みろくろも備えています。
ちなみに新調品です。